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聖夜の拳が加速され、勢いよく振り下ろされる。重力も相まって普段の倍以上の威力になった攻撃が、高次元生物に炸裂する。
その瞬間、高次元生物の鉄の体にヒビが入り、バラバラに砕け散った。
「……やったか?」
『高次元生物の反応消滅!やりましたね!2人とも!』
真崎の声が聞こえて、聖夜は安堵の表情を浮かべた。
「よかった……やったな。柊」
聖夜は柊の方を見て微笑んだ。しかし、柊は頭を押さえてしゃがみ込んでいた。
「柊……?大丈夫?」
「……うん」
柊はフラフラと立ち上がると、聖夜に向かって笑顔を作った。
「ちょっと……目眩がしただけ」
「そっか……?ならいいんだけど」
「うん。それより……南日本支部の2人を助けに行かなきゃ」
柊はそう言って、蝶の光がある方に走って行った。
「柊……いや、俺も行かなきゃ」
聖夜はその後を追って走った。
やがて、薄れてきた霧の中に筋肉質な高次元生物と戦う2人の姿を見つけた。
「はぁっ!」
憂羽は激しい鞭裁きで敵を痛めつける。しかし、高次元生物は怯まずに腕を振り回した。
「憂羽様!」
優一が盾を持って2人の間に割り込む。敵の攻撃に押されて後ずさりつつも、何とか憂羽を守り抜いた。
「優一、ありがと!」
「当然のことです」
「それにしても、視界が『蝶』に塞がれてるからって……乱暴すぎるわ」
憂羽は高次元生物を睨んだ。蝶を振り払うのを諦めたのか、腕を闇雲に振り回している。
「これじゃ埒が開かない……」
憂羽が呟いたその時。
「『遅延』!」
柊のアビリティで、高次元生物の動きが遅くなった。
「聖夜!」
「ああ!」
憂羽の横を、聖夜が猛スピードで駆け抜ける。
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