33 南日本支部

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「食らえ!」  聖夜の勢いの良いパンチが、高次元生物の頭に炸裂する。ふらりと体勢を崩した高次元生物だったが、再び腕を振り回し始めた。しかし、柊の力でスローモーションな攻撃になっている。 「その程度、躱せる!」  聖夜は加速して易々と攻撃を躱す。 「聖夜君!」  優一の声に振り向くと、拳銃が投げ渡された。 「それでトドメを!」 「任せろ!」  聖夜は高次元生物の頭を狙って発砲した。銃弾は見事に命中し、高次元生物はその場に崩れ落ちる。 『高次元生物の反応消滅!これで全て倒しました!』 「よし!やったな、みんな!」  そう言って笑いかける聖夜に、優一と憂羽は微笑んだ。 「お二人とも、すごく良いコンビネーションでしたね」 「流石中央支部ね。素直に認めるわ」 「へへ……ありがとな」  聖夜は照れ笑いして傍らの柊を見た。しかし、柊の顔色は悪く、先程と同様に頭を押さえていた。 「柊、やっぱり具合が悪いんじゃ……」 「ううん、平気……」 「そんな様子で平気なわけないだろ!戻ったら清野さんに診てもらおう。な?」 「……うん」  力無く頷いた柊を、聖夜は支える。 「……それじゃあ、任務も終わったし俺達は戻るよ」 「ええ……お気をつけて」 「今日はありがとね」  2人と別れて、ワープパネルへ向かおうとしたその時。 「もう終わりだと思っているのか?」  聖夜が声のした方向を振り返ると、なんと鉄製の矢が勢いよく飛んできたのだ。 「なっ……」  聖夜は、それをギリギリで躱して、矢を放った少年を睨み付けた。 「誰だ!」  聖夜に問われ、小柄な黒髪の少年は怪しい笑顔を見せる。 「僕はウォンリィ。君達を潰しに来た」 「まさか……高次元生物を生み出した未来人か!」
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