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すると、少年はニヤリと笑って弓矢を放り投げた。そしてポケットからメモ帳とペンを取り出すと、サラサラと何かを描き始めた。
「そう。僕は君達の敵だ」
その時、突然メモ帳が輝き出し、光る球体が飛び出してきた。球体は空高く浮かび上がり、やがて形を形成する。そしてできたのは……戦闘機。
「僕達の時代はね、こんなのが普通に飛び交ってる世界だった。……君達のせいでね」
ウォンリィは聖夜達を鋭く睨み付けた。
「だから変える。そのために、ここで特部を潰して、僕達が過去を支配する!」
ウォンリィがそう言い放った瞬間、戦闘機が射撃を始めた。弾丸の雨が降り注ぐ。
「いけない!『大盾』!」
優一が咄嗟に巨大な盾を出し、なんとか被弾を免れた。しかし、戦闘機の攻撃は止まない。
「ははは!いつまで隠れてるつもりだい?」
「くっ……」
聖夜達はどうすることもできず、優一の影に隠れてひたすら攻撃を耐え忍ぶ。
「……いつまでもこのままじゃ駄目だ。なんとかしないと……」
「なんとかって……どうやるんですか?」
「それは……」
『聖夜、大丈夫だよ』
聖夜が言葉に詰まっていると、通信機から旭の声が聞こえた。
「大丈夫って……何か作戦があるのか?」
『一か八かだけど……私が何とかするから。だから……』
「……分かった。俺達は何をすればいい?」
『少しの間だけでいいから、敵の動きを止めてほしい』
「敵の動きを止める……」
聖夜は柊に目線を送った。顔色こそ悪かったが、柊は聖夜の意図を汲んで頷く。
「……戦闘機の動きは、私が止める」
「なら俺は、あいつをどうにかする!」
聖夜はウォンリィを真っ直ぐに見据えた。柊はそれを見て、目を閉じて集中し始めた。
「いくよ聖夜。3、2、1……『停止』!」
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