33 南日本支部

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 戦闘機の動きがピタリと止まった。機銃掃射が停止して攻撃が止む。それと同時に、聖夜は拳を握りしめ、加速しながらウォンリィに突っ込んだ。 「食らえ!」 「なっ……」  ウォンリィは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐにメモ帳を開いた。すると、聖夜の目の前に光の球体が現れ、刀を持った剣士になった。 「何……!?」  剣士は聖夜に向かって刀を振るう。それをギリギリで躱すと、聖夜は剣士と距離を取った。 「こんなの……まるでお伽話だ……」 「ふっ……僕の『スケッチ』をなめないでほしいね」  ウォンリィは不敵に笑った。 「さあ、そいつを倒せ!」  ウォンリィの声に応えるように、剣士は聖夜との間合いを一気に詰めた。 「っ……『加速』!」  素早く繰り返される刀の攻撃を躱しながら、聖夜は攻撃の機会を窺う。しかし、剣士には一向に隙が生まれない。 (どうすればいいんだ……!)  その時だった。 「当たって!」  1本の矢が、剣士の腕に突き刺さった。痛みのあまり、剣士は刀を持つ手を離す。聖夜が矢の飛んできた方向を見ると、そこにはウォンリィが先程投げ捨てていた弓を持った旭がいた。 「旭!」  旭は地面に落ちた刀を拾うと、ウォンリィに向き直った。 「お前は……脱走した小娘!」 「あなた達の好きにはさせない……!」 「生意気な……!痛い目に遭わせてやる!」  ウォンリィはそう言うとメモ帳にペンを走らせた。しかし、聖夜が素早くウォンリィの元へ突っ込んで、その手を蹴り上げた。 「させるか!」   「痛……!」
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