33 南日本支部

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 蹴られた勢いでメモ帳が宙を舞う。それを旭は見逃さなかった。 「これで……!」  旭は刀を力いっぱい振り、メモ帳を真っ二つに斬った。すると、剣士や弓矢、戦闘機と刀……ウォンリィが描いて生み出した全ての物が塵となって消え去った。 「そんな……僕のアビリティが……」  ウォンリィはその場に崩れ落ちた。聖夜はウォンリィに合わせてその場にしゃがむと、その目を真っ直ぐに見つめた。 「俺達の勝ちだ。教えてくれ。お前達が、何でこの時代を支配しようとするのか」 「……君達に教える義理はないよ。君達は、黙って僕達に支配されればいいんだ!」  ウォンリィはそう言うと、隠し持っていた拳銃を聖夜に向ける。 「なっ……」 「僕達は特部を潰す……僕達の未来のために!」  ウォンリィは拳銃を発砲した。その瞬間、地面から黒い闇でできた壁が現れ、銃弾を遮った。 「このアビリティ……まさか!」 「久しぶりだね。聖夜」  ウォンリィの背後から、ノエルがゆったりと姿を現した。 「リーダー……何で止めたのですか!?」 「ウォンリィ、往生際が悪いのは、君のいけない癖だね」   「う……」  ノエルが冷たく微笑むと、ウォンリィはたちまち青ざめた。それを意に介さず、ノエルは聖夜に歩み寄る。 「聖夜、久しぶりに見たけど……全然変わってないね」 「ノエル……やっぱりノエルは、俺達の敵なのか?」  聖夜の質問にノエルはくすりと笑った。 「敵か……君達が僕達に刃向かうならね」
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