67人が本棚に入れています
本棚に追加
平然とそう言うノエルを目の当たりにして、聖夜の瞳が揺れる。
信じられなかったのだ。信じたくなかったのだ。あの日、自分を助けてくれた、心優しいノエルが、自分の敵なのだということが。
「何でこんなことするんだ?高次元生物を生み出したのも、高次元生物で人を傷つけようとするのも、全部ノエルの意思なのか!?」
「何を当たり前のことを聞いているの?これは僕達の意思。それ以外あり得ない。僕達の計画を邪魔する人間は、全て潰すのみだ」
「なら……何で俺のことを助けたんだ!」
聖夜が震える声で尋ねると、ノエルは寂しそうに笑った。
「……似てるんだよ。僕の大切だった人に」
「大切だった人……?」
「そう。特に優しい眼差しがね」
ノエルはそう言うと、聖夜に右手を差し伸べた。
「聖夜、僕達の仲間にならないか?」
「な、仲間……?」
「そう。悪いようにはしないよ……そうしたら、君の仲間達もこれ以上傷つけないと約束する」
思いも寄らない提案に、聖夜は言葉を失った。
(仲間になったら、柊や特部のみんなは傷つかなくて済むのか……でも……)
「聖夜、駄目!」
柊はフラフラとノエルに歩み寄り、その顔を睨み付けた。
「私達の任務は、高次元生物を倒してみんなを守ること。……あなた達のことも、絶対倒すから」
「柊……」
「聖夜、悩むことないよ。私達は……聖夜の仲間は、そう簡単に負けないんだから」
柊はそう言って、聖夜を力強く見つめる。
「……うん。そうだったな」
聖夜は頷くと、ノエルの手を払った。
「俺、仲間にはならない。ノエル達が高次元生物でみんなを傷つけようとするなら、全力で戦う」
「……そうか。残念だ」
ノエルはそう言うと、ウォンリィの肩を叩いた。
「ウォンリィ、帰るよ」
「……はい、リーダー」
最初のコメントを投稿しよう!