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34 作戦開始
* * *
聖夜達が中央支部に戻ると、琴森が待ち構えていた。
「琴森さん!今朝の任務って……朝丘病院の任務ですよね?」
聖夜が尋ねると、琴森は真剣な顔で頷いた。
「そうよ。さっき総隊長が、アビリティ課の準備が出来次第、すぐに任務を開始すると指示を出していたわ」
「そうなんですね……。他のみんなは?」
「もう談話室で待機してるわ。あなた達もみんなと一緒に待機して」
「分かりました。……でも、その前に柊を医務室に連れて行かないと」
「あら、柊さん……体調悪いの?」
琴森が心配そうに柊を見る。すると、柊は苦笑いして頷いた。
「……少しだけ」
「そう……なら、柊さんは医務室に行っていいわ。聖夜君と旭さんは談話室で待機して」
「了解。柊……無理するなよ」
聖夜は心配そうに柊に釘を刺す。
「分かってる。……大丈夫だよ」
「……柊。本当に、大丈夫?」
旭も不安げな顔で、柊を見つめていた。
「旭もそんな顔しないで。大丈夫だから。じゃあ、後でね」
柊はそう言って、医務室へと歩いて行く。その背中を、2人は心配そうな表情で見送った。
「……旭、心配だけど談話室に行こう」
「うん……」
聖夜と旭は、柊と別れて談話室へ向かって歩き始めた。
「旭、談話室行くの初めてだっけ?」
「うん。ここに来てから色々あったから……。どんな所?」
「うーん……温かい雰囲気の場所かな。よくみんなで集まってお茶したり、話したりしてるよ」
「……いいね、それ」
旭はそう言って微笑んだ。それを見た聖夜もつられて微笑む。
「だろ!今はそれどころじゃないかもしれないけど……色々落ち着いたら、旭も一緒にお茶しような」
「うん。楽しみにしてるね」
「ああ……ほら、着いたよ」
聖夜は談話室の扉を開けた。すると、室内に居た他の隊員達と目が合う。
「聖夜と……旭、だったよな?」
入口の近くに居た翔太が、2人に歩み寄ってきた。声をかけられ、旭は慌てて背筋を伸ばす。
「は、はい!」
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