34 作戦開始

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「……次の任務では、よろしくな」 「はい!よろしくお願いします!」  旭は翔太にぺこりと頭を下げた。翔太はそれに少し微笑む。 「……2人とも、とりあえず座ったらどうだ?」 「うん。そうする」  翔太に促され、聖夜は旭と共に空いている席に座った。 「柊は?」 「医務室に行ってる……具合悪そうだったから」 「そうか……」  表情を曇らせる翔太を見て、聖夜は心配かけさせまいと笑顔を作った。 「心配してくれてありがとな。でも、柊も大丈夫だって言ってたし……」  しかし、翔太の表情は晴れない。聖夜の目には、何か思い詰めているように見えた。 「翔太……どうかしたのか?」 「……聖夜」 「ん?」 「聖夜、聞いてくれ。柊は、もしかしたら……」 「あ、みんな!テレビ見ろ!テレビ!」  翔太が何か言いかけたとき海奈が皆に向かって叫んだ。 「テレビ……?」  聖夜が談話室のテレビに目をやると、そこには総隊長の千秋が映っていた。 「総隊長!?」  思いがけない千秋の登場に、聖夜は目を丸くした。  テレビに映るテロップには、『緊急記者会見!高次元生物の真相。誰かの陰謀か?』と書かれている。 「これって、もしかして今朝の動画が……」 「ああ。もう話題になっているようだな……」  しばらく見ていると、記者からの質問が聞こえてきた。 『高次元生物は、動画に映っていた人物が作り出したのですか!?』 『はい。おそらく、そうです』  記者の質問に、千秋は真剣な表情を崩さずに答える。 『では、あの少年が言っていたことは事実なのですか?』 『……その可能性が高いです。こちらにも証人が居ますから』  千秋の答えに、画面の向こうからざわめきが聞こえた。
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