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病院のエントランスに着くと、そこにはノエル達5人が待ち構えていた。
「ノエル……!」
「やあ、聖夜。わざわざ来てくれたんだね」
ノエルはそう言ってにっこりと微笑んだ。その怪しげな笑顔を見て、隊員達が身構える。
「ああ……そんなに身構えなくても、僕達に君達を傷つける意思はないよ」
その言葉を聞いて、翔太はノエルをきつく睨んだ。
「どういう風の吹き回しだ!」
「ふふ……僕達の事情を分かってくれれば、君達の気持ちも変わるかもと思ってね」
「事情だと?」
「そう……よく聞いてほしい」
ノエルは微笑みながら手を掲げた。すると、エントランスが闇で包まれ、闇が街の形を形成した。
「僕達は未来から来た……僕達の時代はね、アビリティを応用した技術が発展して栄えていたんだ」
闇が高い建物を形成し、大勢の人々も作り出した。人々は皆笑顔で、街を行き交っている。
「でもね、平和は長くは続かなかった」
ノエルがそう言うと、突如として空に戦闘機が現れた。燃やし尽くされ、崩れていく街。そして、兵士達によって倒されていく人々。
「戦争が始まったんだ。技術力が発達しすぎて、人々はその力試そうと戦争を始めた。アビリティはすぐに戦争の道具となり……大勢の人を殺した」
やがて、あれ程栄えていた街が更地となり、人々が消えた。ノエルはその様子を寂しそうに見つめ、やがて口を開いた。
「アビリティを応用した技術。そして、アビリティが、僕達の時代を壊したんだ」
「そんな……」
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