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「ああ……だけど、今は目の前の敵に集中するんだ。氷壁も、あまり長くはもたない……皆、体勢を立て直して攻撃の準備を!」
「……了解」
聖夜は地面に手を当てて集中した。
(ノエル達に追いつくために、まずはこいつらを倒すんだ……!)
「……『加速』!」
『加速』がかかり、特部全員の体が軽くなる。聖夜達はそれぞれ身構え、攻撃体勢をとった。
やがて氷壁が砕け、銃弾が貫通する。
「『渦潮』!」
「『竜巻』……!」
その銃弾を2人の激しいアビリティが受け止めると、渦潮と竜巻が融合し、兵士達を飲み込み始めた。
前線にいた兵士達は巻き上げられたが、すぐに次の兵士が現れる。
「ぜ、全然きりが無い……!」
深也が怯えた表情を浮かべる。そんな彼に向かって、海奈は力強く声を掛けた。
「落ち着け、深也!見たところ、敵の行動は単純だ。なら、何度来ても俺と翔太で対応できるだろ!」
「ああ。だが……いつまでもこうしている訳にもいかない。何か良い案は……」
翔太は、顔を歪めながら頭を悩ませる。実際に、兵士達は次々と押し寄せてきて隊員達を囲んでいた。
それを見た白雪は、すぐに仲間に指示を出す。
「僕と花琳が敵の動きを止める。2人は引き続き攻撃をして。聖夜君達は僕達と一緒に来て敵を叩くんだ」
白雪の言葉に、聖夜達は頷いた。
「はい!分かりました」
聖夜達は白雪の後を追って敵陣に突っ込む。
「『氷結』」
「『蔦』!」
白雪が敵の体を凍らせ、花琳の蔦が敵を縛る。その隙に、聖夜は手近な兵士の頭を高速で蹴り上げた。
「はぁっ!」
蹴り上げられた兵士が勢いよく倒れる。その傍らで、深也も銃で兵士に応戦していた。
「マジで終わりが見えないけど……やるしかないね」
「ああ……そうだな!」
聖夜は頷いて深也と背中合わせに構えた。
その時。
「聖夜……!」
翔太達の影に隠れていた旭が、聖夜に駆け寄ってきた。
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