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その姿を捉えた兵士達が、旭に向かって発砲する。
「旭!」
聖夜は加速して旭の元へ飛び出し、彼女を庇うように抱いて床に転がり込んだ。躱された銃弾が窓に当たりガラスが割れる。
「旭、大丈夫か!?」
「う……うん」
聖夜は起き上がると、旭を抱き起こした。
「よかった……急にどうしたんだ?」
「宵月博士が、危ないの!」
旭が必死の表情で訴える。それ受けた聖夜ら目を見開いた。
「父さんが……!?『未来予知』か?」
聖夜の質問に旭は頷いた。
「早く……早く博士の所に行かないと!」
「ああ……でも……」
聖夜と旭の周囲は、すっかり兵士達にかこまれてしまっていた。
(この数を一度に倒すのは難しい……どうすれば)
聖夜に悩む時間を与えまいとするかのように、兵士達が発砲する。
「くっ……」
聖夜は旭を抱き締めるようにして庇い、目を瞑った。
その時。
「『遅延』!」
柊の声が響き渡り、兵士達と銃弾の動きが遅くなった。速度を失った銃弾がパラパラと落ちていく。
「聖夜、旭!」
柊は聖夜と旭に駆け寄り、2人に手を差し伸べた。
「大丈夫?」
「うん……助かったよ」
「ありがとう、柊……」
2人は柊の手を掴んで立ち上がった。
「柊、宵月博士が……」
「うん。聞こえてた。……早く助けに行きたいけど、まずはここを何とかしないと……」
柊が助けに入ったとはいえ、聖夜達は依然として兵士に囲まれたままだった。
「『停止』させて突破するしかないか……」
柊がそう呟くと、旭が柊の腕を掴んだ。
「柊、駄目!」
「え……?」
「無理したら駄目……そんなことしたら柊の未来が……」
「私の未来?どういうこと……?」
「っ……それは……」
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