35 朝丘病院

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 その姿を捉えた兵士達が、旭に向かって発砲する。 「旭!」  聖夜は加速して旭の元へ飛び出し、彼女を庇うように抱いて床に転がり込んだ。躱された銃弾が窓に当たりガラスが割れる。 「旭、大丈夫か!?」   「う……うん」  聖夜は起き上がると、旭を抱き起こした。 「よかった……急にどうしたんだ?」 「宵月博士が、危ないの!」  旭が必死の表情で訴える。それ受けた聖夜ら目を見開いた。 「父さんが……!?『未来予知』か?」  聖夜の質問に旭は頷いた。 「早く……早く博士の所に行かないと!」 「ああ……でも……」  聖夜と旭の周囲は、すっかり兵士達にかこまれてしまっていた。 (この数を一度に倒すのは難しい……どうすれば)  聖夜に悩む時間を与えまいとするかのように、兵士達が発砲する。 「くっ……」  聖夜は旭を抱き締めるようにして庇い、目を瞑った。  その時。 「『遅延』!」  柊の声が響き渡り、兵士達と銃弾の動きが遅くなった。速度を失った銃弾がパラパラと落ちていく。 「聖夜、旭!」  柊は聖夜と旭に駆け寄り、2人に手を差し伸べた。 「大丈夫?」 「うん……助かったよ」 「ありがとう、柊……」  2人は柊の手を掴んで立ち上がった。 「柊、宵月博士が……」 「うん。聞こえてた。……早く助けに行きたいけど、まずはここを何とかしないと……」  柊が助けに入ったとはいえ、聖夜達は依然として兵士に囲まれたままだった。 「『停止』させて突破するしかないか……」  柊がそう呟くと、旭が柊の腕を掴んだ。 「柊、駄目!」 「え……?」 「無理したら駄目……そんなことしたら柊の未来が……」 「私の未来?どういうこと……?」 「っ……それは……」
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