35 朝丘病院

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 旭は言葉に詰まって俯く。そうしている間に、兵士は発砲の姿勢に入っていた。 「……やっぱり、やるしかない!」  柊が構えたその時。 「『竜巻』!」  3人を取り囲んでいた兵士達が竜巻に巻き上げられた。竜巻が止むと、兵士達は次々に落下して動かなくなる。 「翔太君!」 「旭が言ってた宵月博士……お前達の親父さんだろ!?」  翔太は聖夜達に向かって叫んだ。 「うん……そうだけど」 「なら、行け!ここは俺達に任せろ!みんな、いいよな!?」  翔太の言葉に、他の隊員が頷く。 「僕が突破口を開く……『氷結』!」  白雪が指を鳴らすと、階段周辺の兵士達の体が凍り付いた。 「さぁ、早く行くんだ!」 「翔太、白雪さん、みんな……」 「……ありがとうございます!」 「聖夜、柊、こっち!」  聖夜と柊は、旭の背中を追って階段を駆け上った。2階を駆け抜け……3階に到着する。  アビリティ課によって避難させられたのか、病棟の人気は少ない。しかし、廊下の突き当たりにある病室の前で、倒れている人影があった。 「あれは……司!?」 「司君!」  3人は司に駆け寄った。司は辛うじて起き上がると、聖夜と柊を見て安心した表情を浮かべる。 「聖夜、柊……」 「大丈夫か!?」 「僕よりも……この病室の中の人が……」 「この病室……宵月博士の!」 「何だって!?」  聖夜と柊は病室の扉を見た。扉から黒い闇が漏れ出ている。 (……この先に、父さんが居るんだ)  聖夜は覚悟を決め、柊と旭と顔を見合わせて頷いた。 「……柊、旭、行こう」 「うん」  聖夜は病室の扉を開けた。
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