35 朝丘病院

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 病室の中は闇で包まれ、黒い狼達が白衣を着た男性を囲っていた。その脇で、ノエルが微笑みながら男性を見ている。 「さぁ、ついてきてもらうよ。宵月明日人」 「く……」 「父さん!」  聖夜が叫ぶと、明日人は目を丸くした。 「聖夜……?聖夜なのか?」 「……やはり来たね。聖夜」  ノエルは聖夜に掌を向けた。すると、狼達が一斉に聖夜へ襲いかかる。 「『加速』!」  聖夜は狼を躱しながら明日人に駆け寄った。 「父さん、大丈夫!?」 「ああ……それより、どうして、ここへ……」 「決まってるだろ!助けに来たんだよ!」 「……!聖夜、後ろだ!」  明日人に言われて振り返ると、狼が飛びついてくるところだった。 「なっ……」 「『停止』!」  柊が咄嗟に叫び、狼が空中で停止する。 「っ……お父さん……!」  柊は少しふらつきながらも明日人の元へ駆け寄った。 「柊……なのか?」 「自分の娘の顔も忘れちゃった?まぁ、もう8年も会ってないから仕方ないか……」  柊はそう言って苦笑いした。   「聖夜……柊……」  明日人の目に涙が浮かぶ。 「もう会えないと思っていた。合わせる顔がないとも思っていた。……でも、会いたかった」  明日人はそう言って2人を抱き締めた。その様子を見て、旭は優しく微笑んだ。 「宵月博士……」 「旭……ありがとう」 「はい!」  旭は笑顔で返事をする。 「……話したいことは沢山あるけど、まずはここを出ないと。アビリティも切れちゃうし」  柊の言葉に聖夜は頷く。しかし、明日人は首を横に振った。 「待ってくれ……まだ、やらなければいけないことがあるんだ」
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