35 朝丘病院

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「そのタイムマシンと、宵月明日人を返してくれないか?僕達が未来へ戻るのに必要なんだ」 「返すって……もともとあなた達の物じゃないでしょ?絶対嫌だから!」  柊はノエルを睨みながら言い放った。 「そうか……なら、実力行使に出るしかないね。……撃て」  ノエルの声に合わせて、兵士達が発砲する。しかし、弾は空中で勢いを失い、パラパラと落ちていく。 「『遅延』だ!」  明日人のアビリティが、銃弾と兵士達の動きを遅らせていた。 「父さん……!」 「3人とも今のうちにタイムマシンに乗って逃げるんだ!『時』の能力を持つ聖夜と柊なら、タイムマシンを動かせる!」 「何言ってるんだ……父さんも一緒に!」  聖夜が必死に訴えるが、明日人は微笑むだけだった。 「父さん……」  明日人の手を引こうとする聖夜を、柊は止めた。 「……聖夜、行こう」 「父さんを置いて行けって言うのか!?柊はそれで平気なのか!?」 「平気じゃないに決まってるでしょ!!」  柊は涙を堪えながら言い返した。 「私だって嫌だよ……。でも、ここで全員が捕まる訳にはいかないの!だから……お父さんのこと、信じよう?」 「柊……」  聖夜は明日人の背中を見て……頷いた。 「父さん、また会うんだからな。絶対……死んじゃ駄目だからな!」 「……ああ」  明日人が静かに頷く。それを見て、聖夜はタイムマシンに乗り込んだ。それに旭と柊も続き、柊が操縦パネルを操作し始めた。 「旭、柊、行こう」 「うん……行くよ!」
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