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「そのタイムマシンと、宵月明日人を返してくれないか?僕達が未来へ戻るのに必要なんだ」
「返すって……もともとあなた達の物じゃないでしょ?絶対嫌だから!」
柊はノエルを睨みながら言い放った。
「そうか……なら、実力行使に出るしかないね。……撃て」
ノエルの声に合わせて、兵士達が発砲する。しかし、弾は空中で勢いを失い、パラパラと落ちていく。
「『遅延』だ!」
明日人のアビリティが、銃弾と兵士達の動きを遅らせていた。
「父さん……!」
「3人とも今のうちにタイムマシンに乗って逃げるんだ!『時』の能力を持つ聖夜と柊なら、タイムマシンを動かせる!」
「何言ってるんだ……父さんも一緒に!」
聖夜が必死に訴えるが、明日人は微笑むだけだった。
「父さん……」
明日人の手を引こうとする聖夜を、柊は止めた。
「……聖夜、行こう」
「父さんを置いて行けって言うのか!?柊はそれで平気なのか!?」
「平気じゃないに決まってるでしょ!!」
柊は涙を堪えながら言い返した。
「私だって嫌だよ……。でも、ここで全員が捕まる訳にはいかないの!だから……お父さんのこと、信じよう?」
「柊……」
聖夜は明日人の背中を見て……頷いた。
「父さん、また会うんだからな。絶対……死んじゃ駄目だからな!」
「……ああ」
明日人が静かに頷く。それを見て、聖夜はタイムマシンに乗り込んだ。それに旭と柊も続き、柊が操縦パネルを操作し始めた。
「旭、柊、行こう」
「うん……行くよ!」
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