36 『命』

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36 『命』

* * *  聖夜達の乗ったタイムマシンは、時空の狭間を走行していた。 「……これから、どうすればいいんだろう」  聖夜はそう呟いて窓の外を見た。七色の光に包まれた空間を、タイムマシンはひたすら進んでいく。 「柊。俺達、どこに向かってるんだ?」 「……多分、過去に向かってる」 「過去か……」 「……みんなが心配だし、早く元の時代に戻った方がいいかな?」 「うん……そうだな」  聖夜がそう言うと、柊は頷いてタイムマシンのパネルを操作し始めた。 (……父さん、みんな、無事かな?)  聖夜がそんなことを考えているときだった。 「聖夜、後ろ!」  旭の声で振り返ると、隠れて乗り込んでいた朝丘病院の兵士が1人、聖夜達を睨み付けていた。兵士ら銃を構え、柊に向けて発砲する。 「柊!!」  聖夜は咄嗟に柊を庇うように立ち塞がった。 「え……!?」  柊が驚いて振り返ると……聖夜の胸に銃弾が命中していた。聖夜は、声も無くその場に崩れ落ちる。 「っ……!『停止』!!」  柊が即座に兵士の動きを止めると、旭がドアを開けて兵士を時空の狭間に突き落とした。
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