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「聖夜!!」
柊と旭が聖夜に駆け寄る。
「聖夜っ……聖夜!しっかりして!!」
柊は必死に呼びかけたが、聖夜の返事は無い。赤い液体が、聖夜の隊服にじわじわと広がっていく。
「嫌だよ!死んじゃうなんて……嫌だよ!!」
柊の目から、涙がとめどなく流れる。
「っ……!そうだ、私が巻き戻せば……」
震える手で聖夜の傷口に手を近づける柊を、旭が止めた。
「柊、駄目!そんなことしたら、柊も危ない……」
「でもっ……もうこれしか……!」
「大丈夫……私が、何とかするから!」
「え……?」
旭の思いも寄らない言葉に、目を丸くする柊。しかし、旭の顔は真剣そのものだった。
旭には分かっていたのだ。この優しい双子を助けるための唯一の方法が。
「……柊」
旭は柊の涙を拭うと、微笑んだ。
「短い間だったけど、柊に会えて良かった。優しくしてくれて……ありがとう」
「旭……?」
「強くて優しい柊。その心、忘れないでね」
「旭……何、言ってるの?」
旭の言葉の意味が分からず、戸惑う柊に対して、旭は優しく告げる。
「私が聖夜を助ける。だから、柊は聖夜の傍に居てあげて。何があっても……聖夜の隣に、居てあげて」
旭はそう言うと、祈るように手を握った。
「……『命』」
すると、タイムマシンの中が白い光に包まれた。
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