36 『命』

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「聖夜!!」  柊と旭が聖夜に駆け寄る。 「聖夜っ……聖夜!しっかりして!!」  柊は必死に呼びかけたが、聖夜の返事は無い。赤い液体が、聖夜の隊服にじわじわと広がっていく。 「嫌だよ!死んじゃうなんて……嫌だよ!!」  柊の目から、涙がとめどなく流れる。 「っ……!そうだ、私が巻き戻せば……」  震える手で聖夜の傷口に手を近づける柊を、旭が止めた。 「柊、駄目!そんなことしたら、柊も危ない……」 「でもっ……もうこれしか……!」 「大丈夫……私が、何とかするから!」 「え……?」  旭の思いも寄らない言葉に、目を丸くする柊。しかし、旭の顔は真剣そのものだった。  旭には分かっていたのだ。この優しい双子を助けるための唯一の方法が。 「……柊」  旭は柊の涙を拭うと、微笑んだ。 「短い間だったけど、柊に会えて良かった。優しくしてくれて……ありがとう」 「旭……?」 「強くて優しい柊。その心、忘れないでね」 「旭……何、言ってるの?」  旭の言葉の意味が分からず、戸惑う柊に対して、旭は優しく告げる。 「私が聖夜を助ける。だから、柊は聖夜の傍に居てあげて。何があっても……聖夜の隣に、居てあげて」  旭はそう言うと、祈るように手を握った。 「……『命』」  すると、タイムマシンの中が白い光に包まれた。
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