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37 過去
* * *
「はっ……!」
聖夜が目を覚ますと、タイムマシンの中に居た。自分の右手が握られているのに気が付き確認すると、柊が泣きそうな顔で聖夜を見つめていた。
「柊……」
「聖夜……生きてる?」
「……うん」
「良かった……ほんとに、良かった……」
柊はそう言って、起き上がる聖夜に抱きついた。
「柊……心配かけて、ごめんな」
「ううん……。あ、聖夜!その右目の色、旭と同じ……!」
「目の色……?」
聖夜は窓に映った自分の顔を見た。すると、確かに右目が蜂蜜色に変化していた。
「ほんとだ……そうだ、旭は!?」
聖夜が振り返ると、床に横たわる旭が目に映った。
「っ……旭!」
聖夜は旭に駆け寄り、呼吸を確認した。
「息……してない……柊、旭が……」
「分かってる。今、病院に連れて行くために近くの時代に向かってるから……」
柊が真剣な、でも泣きそうな顔でそう言うと、窓の外の景色が変わった。青い空と、穏やかな町並み……見慣れた、天ヶ原町だった。
「私、運転するね」
柊はそう言って操縦席に向かい、タイムマシンを人気の無い山の麓に駐めた。近くに公衆電話がある。
「救急車呼んで来る!」
柊はタイムマシンを出て、公衆電話に駆けていった。その間、聖夜は旭の手を握り続けた。
(旭……ほんとに、死んじゃったのか……?俺のせいで……?)
……しばらくして、救急車が到着する。駆けつけた救急隊員によって、旭は救急車に運び込まれた。
「ほら、君も来てくれ。この子の付き添いだろう?」
「は……はい」
聖夜は救急隊員に頷いて、救急車に乗り込んだ。
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