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救急車の中で繰り返される心臓マッサージ。必死に旭を救おうとする救急隊員を、聖夜と柊は震える手を握り合いながら見ていた。
しかし、旭の脈は戻らなかった。病院に搬送されてしばらくして、医師が聖夜と柊に旭の死亡を言い渡した。
処置が終わり、霊安室に運ばれた旭。医師が黙って見守る中、聖夜は呆然と旭を見つめていた。傍らで柊が涙を流していたが、聖夜は泣けなかった。
「……旭」
聖夜は彼女の名前を呟く。しかし、返事が返ってくるはずもなかった。
「俺のせいか……?俺を助けたから……旭は死んじゃったのか?」
「聖夜……」
「俺の……せいだよな」
心に穴が空き、何も感じられない状態の聖夜の手を、柊はそっと握った。
「そんなことないよ……!旭は、そんな風に思って欲しくないと思う」
「……でも」
「自分のこと責めないで……。お願い」
そう言ってぽろぽろと涙を零す柊を見て、聖夜は何も言えずに黙り込んでしまった。
(……何で俺は泣けないんだろう。旭が死んだのに……何も感じない。何も……)
しばらくして、2人の元へ警察官が2人やって来た。1人は若い男性で、もう1人は年配の女性だった。
「……君達、悲しんでいる所すまないが事情聴取に来た。この子の死が、事件なのか事故なのか……話を聞かせてくれないか」
若い警察官が聖夜達を見つめてそう言うが、年配の警察官がそれを止めた。
「待ちなさい」
「明星さん……しかし」
「この状況で、冷静に話せるはずがないだろう?……私の『審眼』は、そのためにある」
年配の警察官はそう言って、聖夜と柊の顔をまじまじと見た。
「……?あ、あの……」
「……お前達は、未来から来たんだね?」
「え……」
「宵月聖夜と宵月柊。10年後の未来から、やって来て……聖夜君、君を助けるために旭がアビリティを使い命を落とした。違うかい?」
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