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「……大きくなった2人に会えるなんて、夢みたい!」
しおりは明るく笑う。
「過去を視たけど……2人とも、大変な中、頑張ってたのよね。偉いぞ!」
そう言って、しおりは2人の頭をわしゃわしゃと撫でた。すると、聖夜と柊の顔が赤く染まった。
「か、母さん!」
「お母さん、恥ずかしいよ……」
「あ、ごめんごめん!私、小さい2人にしか会ったことないから……つい、ね」
しおりは優しく微笑んで手を離した。聖夜と柊は顔を赤らめながら、彼女の顔を見つめる。
「……母さん、俺達もう15歳だから!」
「そうそう!いつまでも子どもじゃないんだよ!」
「あはは!分かった分かった!難しいお年頃ね……」
やれやれと首を振るしおりを見て、2人は思わず笑ってしまった。
「母さん、わざとらしいよ!」
「本当!あはは!」
笑う2人を見て、しおりは優しく微笑んだ。
「……やっと笑った」
「え?」
「2人ともすごく暗い顔してたでしょ?心配だったのよ」
「母さん……」
「……生きてれば色々あるけどね、過去に縛られちゃだめ。未来を作るのは、今の積み重ねなんだから!」
「今の……積み重ね……」
「そう。明るい未来にしたかったら、今を変えなきゃね……なーんて、ちょっと母親らしいこと言ってみたりして!」
明るい笑顔を見せるしおりの傍らで、聖夜はその言葉を噛みしめる。
(明るい未来……この世界を守って、かつノエル達の未来も救う。それが、俺にとって明るい未来だ)
聖夜の中で、ずっと感じてた迷いが消えていく。
「……どっちも守る。今を変えて、どっちも守るんだ!」
聖夜は立ち上がり、大きな声で決意した。周りで休憩していた他の患者も、何事かと聖夜を見る。
「聖夜、声大きい!ここ、病院なんだよ?」
「あ、ごめん柊……」
柊にたしなめられ、聖夜は慌てて口を押さえ、ソファに座った。
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