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医務室へ着くと、聖夜は清野の指示で気を失った柊をベッドに横たえた。聖夜が不安そうに見守る中、清野は柊から少しだけ採血を行い、薬品の入った容器に入れる。すると、血液が青色に変化した。
「やはり……柊さんはHASで間違いない」
「清野さん、それは……?」
「ああ……HASの簡易検査キットだよ。訳を話して予め病院から借りておいたんだ。血中のアビリティ成分の濃度が高いと、血液が青くなる」
「じゃあ……柊はやっぱりHASなんですね……」
聖夜がそう言うと、清野は彼を真っ直ぐ見つめた。
「……今回はアビリティの使用が無いにも関わらず、気を失った。病状は悪化している……柊さんは、もう戦うべきではない。分かるね?」
清野の重々しい言葉に、聖夜は何も言えずに俯く。その時、医務室の扉が勢いよく開いた。
「聖夜!柊!」
翔太達中央支部の隊員達が、雪崩れ込むように医務室に入ってきたのだ。
「……みんな」
「帰って来るなり柊ちゃんが倒れたって聞いて、心配したのよ!?」
「そ、それで、柊ちゃんは……」
「気を失って……寝てるよ」
聖夜がそう言うと、隊員達は言葉を失った。
「……なんかさ、こうして寝てる柊を見てると……旭や母さんのことを思い出すな」
聖夜は柊を見つめながら、小さな声でそう言う。
「聖夜……」
「もし……もし、もう目を覚まさなかったら……俺……」
「聖夜!」
翔太が、聖夜に歩み寄って彼の頬をバチンと叩いた。
「痛っ……!?」
突然の出来事に、周りの隊員や清野も息をのむ。
聖夜は驚きながらも、頬を叩いてきた翔太に詰め寄った。
「な、何するんだよ……!」
すると、翔太は聖夜の両肩を掴み、彼を叱りつけた。
「しっかりしろ!お前が後ろ向きになってどうするんだ!」
翔太に怒鳴られ、聖夜はハッとした。
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