38 帰還

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* * *  医務室へ着くと、聖夜は清野の指示で気を失った柊をベッドに横たえた。聖夜が不安そうに見守る中、清野は柊から少しだけ採血を行い、薬品の入った容器に入れる。すると、血液が青色に変化した。 「やはり……柊さんはHASで間違いない」 「清野さん、それは……?」 「ああ……HASの簡易検査キットだよ。訳を話して予め病院から借りておいたんだ。血中のアビリティ成分の濃度が高いと、血液が青くなる」 「じゃあ……柊はやっぱりHASなんですね……」  聖夜がそう言うと、清野は彼を真っ直ぐ見つめた。 「……今回はアビリティの使用が無いにも関わらず、気を失った。病状は悪化している……柊さんは、もう戦うべきではない。分かるね?」  清野の重々しい言葉に、聖夜は何も言えずに俯く。その時、医務室の扉が勢いよく開いた。 「聖夜!柊!」  翔太達中央支部の隊員達が、雪崩れ込むように医務室に入ってきたのだ。 「……みんな」 「帰って来るなり柊ちゃんが倒れたって聞いて、心配したのよ!?」 「そ、それで、柊ちゃんは……」 「気を失って……寝てるよ」  聖夜がそう言うと、隊員達は言葉を失った。 「……なんかさ、こうして寝てる柊を見てると……旭や母さんのことを思い出すな」  聖夜は柊を見つめながら、小さな声でそう言う。 「聖夜……」 「もし……もし、もう目を覚まさなかったら……俺……」 「聖夜!」  翔太が、聖夜に歩み寄って彼の頬をバチンと叩いた。 「痛っ……!?」  突然の出来事に、周りの隊員や清野も息をのむ。  聖夜は驚きながらも、頬を叩いてきた翔太に詰め寄った。 「な、何するんだよ……!」  すると、翔太は聖夜の両肩を掴み、彼を叱りつけた。 「しっかりしろ!お前が後ろ向きになってどうするんだ!」  翔太に怒鳴られ、聖夜はハッとした。
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