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39 最後の手段
* * *
天ヶ原町上空に浮かぶ闇でできた天空の城。その中に、ノエル達は居た。
「……リーダー、本当に大丈夫なのですか?」
ウォンリィの言葉に、ノエルは冷たく微笑む。
「大丈夫に決まっているだろう?」
「ですが、アビリティを使いすぎると体に負担がかかると聞きます……」
「エリスも心配だなぁ。ノエルはアビリティ強いし、それだけ負担もかかるでしょ?」
心配そうなウォンリィとエリスに同意するように、アリーシャとイグニも頷いた。しかし、ノエルは微笑みを崩さない。
「……それでも、僕はやるよ。高次元生物を生み出す施設が破壊された今、戦力は僕達のアビリティだけなのだから」
ノエルの答えに、ウォンリィは表情を曇らせる。心配だったのだ。自分がずっと慕い、着いてきたノエルが、壊れてしまうことが。
「リーダー……」
「余計な心配をしていないで、君達は早く特部を潰せ。奴らが僕達にとって、最も邪魔な存在なのだから……」
ノエルにそう言われ、ウォンリィは渋い顔で頷く。心配ではあっても、ノエルに逆らうなど、ウォンリィにはできなかった。
「……分かりました。みんな、行くよ」
ウォンリィに促され、残りの3人も渋々城を出て行く。1人きりになったノエルは、ポケットから向日葵の髪飾りを取り出し、眺めた。
「……もうすぐ、だからね。もうすぐ、君が笑って過ごせる未来にするから……。ツムギ。僕のこと見守ってて」
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