40 最終決戦

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「食らえ!」  しかし、引き金を引こうとした瞬間。 「隙だらけだな!」  眞冬がウォンリィに腕締めを食らわせ、腕を締めたまま引き倒した。 「ぐっ……!?」  ウォンリィの手から銃が離れる。眞冬は素早くそれを拾い、ウォンリィに向けた。 「動くなよ!」 「……それで優位に立ったつもりかい?」 「んだよ、負け惜しみか?」  腕を庇って膝をついているウォンリィだったが、その顔はニヤリと笑っていた。眞冬はその意図を『読み』、背後を振り返る。  そこには、千秋の首筋にナイフを突きつけた、エリスの姿があった。その傍らで夏実も手を出せずにエリスを睨み付けている。 「この人が大事なら、銃を捨てなさい!」 「千秋……!」 「眞冬……僕なら平気だ!」 「うるさい。あんたは黙ってて」  エリスはナイフを持つ手に力を込めた。千秋の首筋が僅かに切れ、血が滲む。 「チッ……分かった」  眞冬は銃を捨て、エリスを睨み付ける。 「……あは!いい顔するじゃない……このお兄さんが大事なんだね?」 「うるせぇ。ゴタゴタ抜かすな……千秋を離せ!」 「……いいよ。離してあげる。でも後悔するよ?」 「は……?何言ってやがる……」  眞冬が戸惑っていると、エリスは千秋の耳元で何か囁いた。 「……『仲間を倒せ』」 「……っ」  千秋は頭を押さえて悶える。頭の中が霞み、意識が闇の中に沈んでいく。  ……仲間を倒せ。その命令だけが千秋の頭に反響する。千秋の震える手が、眞冬に向けられたその時。 「千秋……!」 「千秋、しっかりしろ!」  夏実と眞冬の声が、千秋の頭に響いた。 「千秋!駄目!眞冬は仲間でしょ!?」 「目ぇ覚ませ!俺達、そう簡単に裏切れるような、安い仲間じゃねぇだろ!」
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