40 最終決戦

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「な……かま……仲間……!」  次の瞬間、千秋は自分の顔を殴った。 「うっ……」 「千秋!」 「……ありがとう。2人のお陰で目が覚めた……!」  千秋はそう言って、エリスに向かって炎を放つ。 「なっ……」  エリスは躱すが、体勢を崩した。それを夏実は見逃さない。 「はぁっ!」  夏実は刀を振るい、エリスのナイフを弾いた。ナイフは飛んでいき、遠く離れた地面に落ちる。 「うっ……」  尻餅をついたエリスに、夏実は刀を向けた。 「降参したら?」 「ぐ……嫌だ!負けられないの!!エリス達、ノエルの想いを背負ってるんだから!アリーシャ!」 「ええ!『毒針』!」  不意を突いた毒針が、3人に降り注ぐ。 「うぐっ……」  躱しきれない3人に毒針が突き刺さる。3人に刺さった針が溶けて、体内に毒が流し込まれた。 「がはっ……」  毒が回って膝をつく3人。そこに、イグニが青い炎を放った。 「消えろ!!『灼熱』!!」  炎が勢いよく3人に迫る。 (これで……終わりなのか……)  千秋が死を悟った、その時だった。 『千秋のこと、守ってるから……千秋は前に進んで』  あの日の春花の声が聞こえた気がした。 「春……花……」  千秋が彼女の名前を呟いた、次の瞬間。  千秋の指輪が薄紅色に輝き、桜吹雪が現れた。桜は3人を守るように吹き荒れ、イグニの炎を吸収する。 「これは……春花の『桜壁』……」  眞冬が呆然と呟いた。その傍らで、夏実は涙を堪えながら顔を上げた。 「春花が……守ってくれた……」  千秋の頬に、涙が一筋流れる。 (春花……僕のことを守ってくれていたんだね。ずっと……ずっと……!)
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