40 最終決戦

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 迷いを見せるアリーシャ。その傍らでイグニが千秋達を睨み付けていた。 「っ……偉そうなこと言いやがって!焼き払ってやる!!」 「やめろ、イグニ」  炎を放とうとしたイグニを、ウォンリィが止めた。 「……この人達の言うとおりだ」  ウォンリィの辛そうな表情を見て、イグニは口を閉じる。 「リーダーを……ノエルを止めに行こう。彼は僕達にとって……未来を変えるのと同じくらい、大切な人なのだから」  ウォンリィの言葉に、エリス達は戸惑いを見せる。 「でも、ウォンリィ……」  迷いを見せるエリスに対して、ウォンリィは悲しそうに微笑んだ。 「大切な人が死んだ未来で生きていくことの辛さ、僕達は誰よりも知っている。……仮に未来が変わったとしても、ノエルが……僕達に生きる理由をくれた彼がいなくなった世界で、僕は生きていけない。君達だって、そうだろう?」  ウォンリィの言葉を聞き、3人は静かに頷いた。 「……そうだね。ウォンリィの言う通りだよ。……ノエルのこと、止めなきゃ」  エリスがそう言うと、彼女とイグニとウォンリィは城の方へ向かって走り出した。  アリーシャはそれには着いていかず、千秋達の方に歩み寄る。 「……これ、あげる」  そう言うと、アリーシャは小さな瓶を3つ、千秋達に投げ渡した。 「これは……?」 「解毒薬。私達は先に行くけど……あんた達も早く来なさいよ」  それだけ言うと、アリーシャ達は仲間達の背中を追いかけて走っていった。 「……たく、素直じゃねぇな」 「でも、良かったじゃない。説得できて」  3人は解毒薬を飲み干し、立ち上がった。 「……あと、もうひと頑張りだね」  夏実の言葉に千秋は頷く。 「ああ。僕達も行こう」  千秋達も、闇の城へと走り出した。
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