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* * *
上も下も分からない闇の中を、聖夜はノエルと共に漂っていた。
(ここは……)
聖夜は辺りを見渡す。すると、2人の人影を見つけた。
(誰か……いる?)
聖夜はノエルを引っ張って、その人影の近くに向かった。
(……声が、聞こえる)
聖夜は人影に声を掛けようとして、止めた。2人の背後から、大勢の兵士が駆け寄ってきたからだ。
(何だ……!?)
「ノエル!危ない!!」
2人のうちの1人が、もう1人を庇うように突き飛ばした。
パァン!!
その少女の体が、銃弾によって貫かれる。
「ツムギ……!?ツムギ!!」
少年が、少女の体を抱きかかえる。しかし、少女はぐったりとして動かない。
「あと1人いるぞ!!撃て!!」
兵士達が、少年に銃を向ける。
「ああ……ああああ!!!」
次の瞬間、少年の体から闇が溢れ出し兵士達を貫いた。
「が……は……!」
兵士達が倒れ、少年の周りに誰も居なくなる。ただ赤い血だまりが、広がっているのみだった。
「…………戦争さえ、無かったら……アビリティさえ、無かったら……!」
少年は震える声で呟く。
「……変えてやる。争いのない世界に……変えてやるんだ……!」
少年はそう言うと、向こうの方へ去ってしまった。
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