67人が本棚に入れています
本棚に追加
* * *
「もしもーし。聖夜?」
懐かしい声がして、聖夜は目を開けた。
「旭……?」
「久しぶりだね」
旭はそう言って、柔らかく微笑む。
「ここは……」
聖夜は辺りを見渡す。しかし、見渡す限り白い世界で何もなかった。
「もしかして……また、魂の世界?」
聖夜が首を傾げると、旭は微笑みながら首を傾げた。
「ふふ……さて、どうでしょう?」
「ふっ……何だよ、それ……」
旭の少しふざけた様子に、聖夜は思わず吹き出してしまった。それを見た旭も、楽しそうに笑う。
しばらく2人で笑い合った後、旭が優しく微笑んで言った。
「……聖夜、私の言ってた未来、守ってくれたね」
「え……?」
「闇を払って世界を救って……聖夜、本当にヒーローみたいだった」
旭の言葉に、聖夜の頬が赤く染まる。
「ヒーローなんて……皆のお陰だよ。旭も、力を貸してくれただろ?」
「え?」
「『未来予知』!すごい助かったんだからな!」
聖夜はそう言って、明るく笑った。
「ふふ……そっかぁ」
聖夜の言葉を聞き、旭は嬉しそうに微笑む。
「……じゃあ、仲間達皆で掴んだ勝利だね」
「うん!そうだな!」
聖夜はニッと笑って見せた。
……その時。
ポツリ、ポツリ……。
「雨……?」
聖夜の頭上から、降り注ぐ雫。不思議そうに上を見上げる聖夜に、旭は優しく微笑んだ。
「ほら、仲間が呼んでるよ」
「え……?」
「さぁ、戻らなきゃ。目を閉じて……」
旭に言われるがまま、聖夜は目を閉じた。すると、どんどん体が軽くなっていく。
「……聖夜、またね。いつか、遠い未来で……楽しいお話、沢山しようね」
(あさ、ひ……)
彼女の声が聞こえたのを最後に、聖夜の意識がふわりと途切れた。
最初のコメントを投稿しよう!