11 父の行方

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 眞冬の放った衝撃の一言に、2人は何も言えずに固まる。その様子を見て、眞冬は苦笑いしながら頭を掻いた。 「……驚くよな。黙っててごめん」  眞冬はそう言って、目を伏せながら話を続けた。 「俺と千秋、それから夏実と……もう1人。小学生の時に明日人さんに助けて貰ったんだ。暴走したトラックに轢かれかけたときに。それ以来、自分達も人助けしたいって言い出した奴がいてさ。明日人さんを巻き込んで何でも屋を始めて町中の人を助けて……」  眞冬は、懐かしそうに微笑む。 「……だから、明日人さんのこと、2人より分かってる。聞いてくれるな?」  そう言う眞冬に、2人は頷いた。 「……明日人さんは、時空科学者だった。タイムマシンを開発した天才博士だって、当時は結構有名だったんだ」 「ほんとに?」  訝しげに柊は尋ねた。 「信じられないかもしれないけど、本当だ」  そう言うと眞冬は1枚の新聞を2人に見せた。数年前の一面の記事。そこには確かに、「時空科学者宵月明日人、タイムマシンを開発!」と書き記されていた。 「当時は一世を風靡したけれど、タイムマシンを動かすには『時』の能力が必要でさ。量産できなくて、結局世の中のブームからは消えちゃったって言ってた」  眞冬がそう言うと、千秋が付け加える。 「時の能力者は非常に珍しいと言われている。時の能力より多数の対象にエネルギーを放出させる能力は今の所存在しないんだ。柊のアビリティを思い出せば分かると思うが……非常に稀な存在なんだよ。君達も、明日人さんも」 「そうだったんだ……」  聖夜は目を丸くした。 「話を戻すぞ。……俺達が高校生になる直前、明日人さんとしてた何でも屋の活動が評価されて特部にスカウトされたんだ。それ以来関わることは減ってしまったけど、明日人さんは優しい人だってよく分かる」  眞冬は2人を真っ直ぐ見て続けた。 「だから、火事が起きて夏実の家に引き取られたって時は信じられなかった。子どもを置いて居なくなるような人じゃない。それで、ずっと明日人さんの行方を調べてたんだ」 「それで、行方は?」  聖夜が聞くと、眞冬は苦笑いして言った。 「残念だけど、分からない。始めに言っただろ?事件に巻き込まれた可能性が高いって」  眞冬は真顔に戻り、重々しく口を開く。 「……明日人さんの家の地下にあるタイムマシンが無くなっていたことが分かったんだ。厳重に保管され、他の誰にも使われることの無いはずのタイムマシンが」 「……!」 「明日人さんは利用されたのかもしれない。……タイムマシンを狙った何者かにな」 「そんな……なら早く助けないと!」  そう言う聖夜に、千秋は落ち着いた様子で告げる。
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