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12 謎の少年
部屋に戻った聖夜は、ベッドの上で横になっていた。
(父さんが、事件に巻き込まれたかもしれないなんて……)
1人悶々としながら、聖夜は天井を見つめる。長年行方不明だった父が危険な目に合っているかもしれないということ、時の能力者は貴重だということ、自分の無力さ……色々なことが頭を巡った。
(もっと強くなりたい……そのためにはどうしたら……)
聖夜は何度も寝返りを打ちながら考えた。
(……分からない)
もう諦めて寝てしまおうかと思ったとき、スマホにメッセージが届いた。
『司です。突然で申し訳ないんだけど、明日会える?』
(司だ!どうしたんだろ……明日は何も無いし大丈夫だな)
大丈夫だと返信すると、司からすぐ返信が来た。
『ありがとう!じゃあ10時に駅前で!』
* * *
翌朝、聖夜は駅前で司と待ち合わせた。
「あ、司!」
「おはよう、聖夜」
司は笑顔で手を振りながら、こちらに駆け寄ってくる。アビリティ課の制服ではなく、春らしい桃色のニットを着ている様子を見た聖夜は、プライベートの用事なのだろうかとぼんやり考えた。
「どうしたんだよ、急に」
聖夜の問いに司は照れながら言った。
「今日買い出し当番なんだけど、お店の場所が分からなくて……手伝ってくれないかな」
「なるほどな。いいよ、行こう」
聖夜と司は商店街を目指して歩いた。
やがて、商店街に着くと、どの店も賑わっているのが見て取れた。司は様々な種類の店を見て、目を輝かせる。
「うわぁ……色んなお店がある……」
「司はここ来るの初めて?」
「うん。入隊してから訓練やら勉強やらで忙しくて……」
司はそう言うと、メモを確認した。
「豚肉と人参、玉ねぎ、じゃがいも…今日は肉じゃがかな」
聖夜もメモを覗き見る。
「どれどれ……って、すごい量買うんだな。大荷物になりそうだけど、帰り大丈夫か?」
「あはは……これも訓練の一環かな……」
「あー……俺も手伝うよ」
2人は苦笑いしながら、手始めに八百屋へ向かった。
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