12 謎の少年

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「何者、なんだろう……って、あれ?」  キラリと光るものを見つけ、聖夜は足下を見た。その光ったものを手に取って確認すると、向日葵の形をした金色の髪飾りだった。 (向日葵の髪飾り……ノエルが落としたのかな?)  聖夜は髪飾りを拾ってポケットに入れた。 「あれ?僕は一体……」  聖夜のすぐ傍で、司が身体を起こす。司が目を覚ましたのに気が付いて、聖夜は慌てて彼の身体を支えた。 「司!大丈夫か?」 「うん……。あ、あれ……!」  司が指さす方向を見ると、遠くから警官が駆けてきていた。警察官は、普段と変わらない平和な公園の様子を見て、首をかしげる。 「あれ?通報があって来たのだが……」 「あ、僕です!」  司が警官の元へ向かった。それに聖夜も続く。 「どうかしたのか?」 「俺が説明します」  聖夜は警官に事情を説明した。 「つまり……虫型の高次元生物が現れ人々を眠らせ、それに君とノエルという少年が対峙したと」 「はい」 「それで、そのノエル君はどこに?」 「さぁ……もう公園を出てしまって」 「そうか……とにかく、お手柄だったな」  警官に笑顔で言われて、聖夜は苦笑いした。 (殆どノエルのお陰なんだけどな。でも……)  聖夜は自分の掌を見つめた。 (掴んだ気がする。俺の力の使い方) 「あ!聖夜ー!」  遠くから、青いマントを翻して柊と海奈が駆けてくるのが見えた。 「一時的に高次元生物の反応があったって聞いて確認しに来たんだけど……」  不安そうな顔をする柊に対して、聖夜は穏やかに答える。 「大丈夫。もう倒したよ」  聖夜の落ち着いた様子を見て、柊は少し首を傾げた。 「何かすっきりした顔だね?」 「え、そうかな……?」 「うん。なんていうか……吹っ切れた顔してる」  柊はそう言うと、傍らの司の存在に気がついて笑いかけた。 「久しぶりだね、司君」 「柊!」 「元気にしてた?」 「もちろん!」  会話が弾む2人を傍目に、聖夜は海奈に声をかけた。 「海奈も、わざわざ来てくれてありがとな」  しかし、海奈は聖夜の言葉に反応せず、ただぼんやりと2人を見ている。どこか上の空な様子の海奈を、聖夜は心配そうにのぞき込んだ。 「海奈、どうかしたのか……?」  聖夜が尋ねると、海奈はハッとして、聖夜に向かって首を振った。 「あ、ごめん……大丈夫だよ。このくらい当然だからさ!」  海奈は自己紹介の時と同じように、快活な笑顔で答える。その様子が、どこか聖夜の胸に引っかかったが、直後の海奈の発言で全て吹き飛んでしまうことになる。 「ところで、この袋の中の保冷剤、溶け始めてるけど、大丈夫か?」  海奈の問いに、聖夜と司は顔を見合わせた。 「あー!!」 「早く帰ろう!」  2人は慌てて付属学校へと向かった。 「じゃあ、私達も戻ろうか」 「うん」  海奈は柊の声に頷き、笑顔を作った。 「あたし達も、帰ろう」
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