13 悩み事

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13 悩み事

 柊はベッドの上で自室の天井を見上げていた。 (暇だな~……)  聖夜と翔太は任務で他県へ、白雪と深也はパトロールで外出中だった。海奈と花琳の行方は分からないが、2人は姉妹だという理由から、なんとなく一緒に居るような気がして、柊は探しに行く気が起きなかった。 (姉妹の時間、邪魔しちゃ悪いしな~……)  そう思った矢先。 「柊ちゃん、居る?」  花琳の声だった。柊がドアを開けると、そこには穏やかな笑顔を浮かべた花琳と海奈が立っていた。 「お茶会、やらない?」  花琳の提案に、柊は目を輝かせて頷く。 「やります!」  柊は花琳と海奈と共に、談話室に向かった。 * * * 「はい、どうぞ」  花琳は柊に紅茶を淹れて手渡す。 「ありがとうございます!」 「いえいえ」  そう言って微笑むと、花琳は席に着いた。花琳は自分の紅茶をこくりと飲んで、優しい声色で柊に尋ねる。 「柊ちゃん、もう特部には慣れた?」 「はい!少しずつですけど……」  柊は頷く。柊が聖夜と2人で特部に入ってからもうすぐ1ヶ月が経とうとしていた。日々の任務や琴森の授業など、始めは慣れなかったことにも、最近は慣れつつある。 「そう、良かったわ。何かあったら、いつでも言ってね。私でも、海奈でも、相談に乗るから」  花琳は蕾が綻ぶような笑顔を浮かべ、柊に優しく付け加えた。傍らの海奈も笑いながら頷く。 「柊よりも長く特部にいるし、力になれることも多いと思うよ」 「うん、ありがとう。……そういえば、2人はいつから特部に?」 「私が中学2年生、海奈が1年生の時に特部に入隊したの」  花琳は紅茶を一口飲んで、穏やかに目を閉じながら過去のことを思い返す。 「私ね、小さい頃特部に助けて貰ったことがあったの。それ以来、ずっと特部に憧れてて……だからここに来れたこと、本当に嬉しかった」  花琳はそこまで言うと、少し頬を染めながら、ぽつりと呟いた。 「それに、会いたい人にも会えたしね」 「会いたい人……?」  柊が海奈の方を見ると、海奈はそれに気がついて、こそりと耳打ちする。 (白雪さんのことだよ) (白雪さん……?) (あたしは覚えてないけど、昔2人は会ってたみたいで……姉さん、ずっと会いたがってたから)  柊は頭の中で整理する。 (白雪さんと花琳さんは昔会ってて、花琳さんはずっと白雪さんに会いたかった……ってことは!)  自分が大好きな恋バナの気配を察知して、柊は目を輝かせた。
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