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14 影の魔人
真崎のアナウンスに従って、柊、海奈、深也の3人は天ヶ原駅前に駆けつけた。駅前の様子は明らかにおかしく、黒い霧が漂い、昼にも関わらず薄暗い。
「なんだこれ……」
『高次元生物の影響だと思われます』
深也の呟きに、真崎が答えた。それに対して、今度は海奈が問いかける。
「その高次元生物はどこに?」
『高次元生物は影のような形態をしているとのことです。恐らく、その薄暗い中に紛れているのかと』
「なら、まずは本体をおびき出さないとね」
柊の言葉に、真崎は頷いて続けた。
『はい。……通報によると、何人か影に飲み込まれた人が居たとのことです。注意して下さい!』
「りょーかい……」
気怠げに返事をした深也は、腰のポーチから拳銃を取り出した。
「……高次元生物、どこに居るんだろうね」
深也の言葉に対して、海奈は辺りを見渡しながら曖昧に返す。
「さあ……辺りが暗くてよく分からないな……」
その様子を見た深也もまた、周辺を注意深く見渡す。すると、ロータリーにある、照明が切られた街灯が目に入った。それを見て、深也はふと思いつく。
「そもそも影なら、辺りを明るくすれば出てくるのでは……?」
「それだ!」
突然の海奈の大声に、深也はびくりと体をすくめた。
「深也、ナイスアイディアだよ」
そう言って明るく笑う海奈に、深也は目を伏せ頬を赤らめる。
「や、役に立ててなにより……」
柊は、その深也の様子を見て目を輝かせた。
(……もしかして、もしかする?)
その柊をよそに、海奈は真崎に通信する。
「真崎さん、周辺を明るくすることってできますか?」
『はい!……連絡して、街灯や駅の照明をつけてもらいますね』
「お願いします」
真崎との通信が途切れて、すぐ。駅の照明や街灯が一斉に点灯した。先程に比べて、駅周辺がずっと明るくなる。
「ミィィィ!」
その明るさに目を覆いながら、黒く、人型をした高次元生物が現れた。
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