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「あれが本体か……」
深也はすぐに高次元生物へ向けて発砲した。
「ミィ!」
高次元生物が頭を抱えてしゃがみ込むと、前方に霧が現れた。弾丸は霧の中で失速し、そのまま地面に落ちる。
「……どうなってんだ、あの霧は」
深也は舌打ちして、拳銃をポーチにしまい、代わりに、折り畳み式のナイフを取り出した。
ナイフを一振りして刃を出し、高次元生物を睨む。柊は深也のナイフを見て、物珍しそうに口を開いた。
「すごい……色々持ってるんだね」
「ああ……僕のアビリティは攻撃向きじゃないから」
それだけ言うと、深也の姿が『消えた』。
「え!?し、深也君、どこ!?」
驚く柊に、深也は声だけで答える。
「これが僕のアビリティ、『透明化』。自分とその周囲のものの姿を消すことができるんだ。……それはそうと、至近距離からの方が良いかもしれない」
その声に海奈も頷く。
「そうだな。……あたしと柊で隙を作る」
そう言うと海奈は高次元生物に向き直った。高次元生物は攻撃が通らないことが分かったのか、ニヤニヤとした顔で躍りながらこちらを見ていた。
「……今に見てろよ」
高次元生物を睨んでから、海奈は柊に視線を送った。
「行こう、柊」
「うん!」
2人は高次元生物に向かって駆け出した。
「食らえ!『渦潮』!」
海奈が腕を振るうと、高次元生物の周囲に水の渦が生まれた。駅の2階にも到達しそうなほど、大きな渦潮。その激しい渦に、高次元生物は閉じ込められる。
「ミィィィ!?」
高次元生物はそれに驚き、立ち尽くした。
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