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* * *
深也が目を覚ますと、医務室の時計は午後11時だった。
任務から戻ったのは夕方6時で、結局聖夜の腕の中で眠ってしまったため、実に5時間眠っていたことになる。
(うわ……こんなに寝てたんだ)
ゆっくりと身体を起こし、深也はベッドの上で大きく伸びをした。
(……今日は色々あったな)
目を閉じて今日のことを思い返し始めると、様々なことが頭を過ぎった。
(高次元生物と戦って、昔の自分に殺されかけて……それから……海奈に……)
ずっと好きだった彼女に、告白したことを思い出して、深也の頬がカーッと火照る。恥ずかしさの余り、深也はベッドの上で膝を抱えて顔を埋めた。
「あー、何やってんの、僕……。はぁ…………目が覚めてしまった……」
深也は溜息をついてベッドから降り、自室に戻ることにした。深也が医務室のドアを開けて廊下に出たその時。
「あ、深也」
思いがけず、海奈にばったり出くわした。
「み、海奈……!?」
(い、今会いたくない人ナンバーワン……羞恥心で死ねる……)
「まだ体調よくないのか?顔色悪いけど……」
心配そうに首を傾げる海奈に、深也は慌てて首を振った。
「ぜ、ぜぜぜ全然!」
「そっか、なら良かった……」
海奈は胸をなで下ろした。
「……話があるんだ。ちょっと俺に付き合ってくれないか」
「あ、う、うん。大丈夫……」
深也が頷いたのを見て、海奈は安心したように笑う。その笑顔にすらドキリとしながら、深也は彼女についていった。
海奈の後に続いて歩き、深也が入ったのは談話室だった。他には誰もおらず、静まりかえった部屋で、海奈は深也に話しかける。
「深也が寝ちゃった後に、みんなに髪型のこと聞かれたんだ。それで……迷ったけど俺のこと全部正直に話したよ」
「そ、そうなんだ……」
「うん。……みんな受け入れてくれたんだ。柊の言った通りだった。深也も、あの時、俺のこと肯定してくれてありがとな」
海奈はすっきりした笑顔を見せた。よく見ると海奈の制服は男子用のものに変わっていた。
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