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「よ、よかったね……」
深也は無理矢理微笑んだ。
「それで……任務中の話だけど」
海奈は真面目な顔で深也を見つめる。
「に、任務中の……」
(こ、これ絶対僕が告白したことだよね?ど……どどど、どうしよう……)
深也は1人、目を回した。
(な、何か喋らなきゃ……)
「そ、そういえば、任務中昔の自分に会ったんだけど今よりずっと根暗でさ……ほ、ほんとに嫌になっちゃって……」
焦る気持ちを必死に誤魔化そうとして話し続ける深也を、海奈は大きな声で遮った。
「聞いてくれ!……頼むよ」
「ご……ごめん」
海奈の真剣な顔を見て、深也は慌てて口を噤む。
海奈は、そんな彼の様子を見て、一呼吸置いて、自分の気持ちを言葉にしていく。
「……俺、ずっと恋愛を避けてたんだ。俺はこんなだから、誰かを好きになれるのか不安でさ。姉さんが白雪さんのことをずっと想っているのは応援したいけど、自分に置き換えるのはどうしてもできなかった」
海奈は胸に手を当てて続けた。
「正直、今も恋愛とかよく分からないし、深也のことをそんな風に考えたことも無かった。だから、付き合ったりとかはできない。ごめん。……でも、深也が俺のことを好きで居てくれたのは嬉しかった。ありがとう」
海奈は深也に真面目な顔のまま言った。
「……わがままなのは分かってる。これからも、仲間で居させてくれないか」
「……そんなこと言われたら、頷くしかないじゃないか」
深也は海奈に精一杯笑いかけた。
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