15 中央支部のリーダー

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「でも、それを言うなら白雪さんも……」  聖夜は反論したが、白雪は微笑んだだけだった。 「僕は用事があるから、先に戻っていて」  白雪はそう言うと、1人その場を立ち去ってしまった。  その後ろ姿を心配そうに見つめる聖夜に向かって、翔太は落ち着いた様子で声を掛ける。 「……あまり気にするな。白雪さんはそういう人だから」 「……でも、白雪さんも、病気で苦しいはずなのに」  表情を曇らせて俯く聖夜に対して、翔太は少し溜息をつくと、首を横に振った。 「気持ちは分かるが、白雪さんは昔からあまり他人に頼らない人だった。俺が特部に入った時からそうだ。だから……あんまり気に病むな」 「そうかもしれないけど……」 「気にしても仕方ないことを気にする前に、お前はグローブを用意してもらった方が良さそうだな」  翔太はそう言うと、聖夜の背中をぽんと叩く。 「……このままじゃ駄目な気がする」  聖夜がそう呟くと、翔太は首を傾げた。 「どういうことだ?」 「白雪さんに無理して欲しくない。……もっと仲間を頼ってほしい」 「……でも、白雪さんがそう簡単に変わるとも思えないぞ」  そう言って困り顔になる翔太の方を、聖夜は真剣な顔で見つめる。  その瞳には、熱い思いが滲んでいた。 「翔太は、白雪さんのことをどの位知ってるんだ?」  聖夜の問いに、翔太は首を横に振る。 「……あまり自分の話はしない人だからな」 「なら、変わらないかなんて分からないだろ」  聖夜は翔太を真っ直ぐに見て、大きな声でこう言った。 「俺、白雪さんに変わって欲しい!」  その様子を見て、翔太は、やれやれと溜息をつく。 「……まずは白雪さんについて話を聞いてみるか。一度本部に戻ろう」  翔太の言葉に頷いて、聖夜は本部に向かって歩き出した。  その後ろ姿を見ながら、翔太は小さく微笑む。 (こういう事を言い出すのは柊かと思ったが……流石双子だ)  翔太は、ずんずんと進んでいく聖夜の後を追いかけた。
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