67人が本棚に入れています
本棚に追加
/232ページ
* * *
聖夜と翔太は本部に戻ると、談話室に向かった。
扉を開けると、花琳と深也が中央のテーブルの席に着いているのが目に入った。
花琳は聖夜と翔太に気がつくと、優しく目を細める。
「2人ともお帰りなさい」
翔太はそれに会釈して、花琳に向かって短く尋ねた。
「2人だけですか?」
「ええ。海奈と柊ちゃんは任務中みたいね」
「か、神奈川で戦ってるって……」
「そうか……」
少し表情を曇らせる翔太の様子を見て、花琳は小首を傾げる。
「何か用でもあったの?」
すると、花琳に向かって、聖夜が元気よく頷いた。
「はい!……白雪さんのことが知りたくて」
「し、白雪君の……!?」
花琳が顔を赤くするのを見て、翔太は付け加えた。
「花琳さん、白雪さんが俺達を頼らない理由について何か知りませんか」
「あ、なんだ……そういうことか……」
花琳は火照った頬をペチペチと叩き、咳払いをして2人に向き直る。
「……詳しいことは分からないわ。でも確かに、白雪君はあまり私達を頼ってくれていないかも……。ね、深也くん?」
花琳から問いかけられた深也もまた頷き、立っている翔太と聖夜を上目遣いに見ながらボソボソと答える。
「……そ、そもそも白雪さんと1番付き合いが長いのは翔太君なんだから、翔太君が知らないことなんて僕達は知らないよ……」
「それもそうか……」
やはり、白雪さんが周りに弱みを見せない理由は、そう簡単に分からないか。そう思い、翔太は小さく溜息をつく。その様子を見ていた花琳は付け加えるように言った。
「私達も白雪君に無理をして欲しくないのは同じよ。ね、深也君」
「は、はい。白雪さん非の打ち所が無くて、病気のことついつい忘れちゃうけど……僕も心配かな……」
2人の話を聞いた聖夜は頷いた。
「ありがとう。他を当たってみるよ」
花琳と深也に礼を言って、2人は次に司令室へと向かった。
* * *
「あら、2人ともどうしたの?」
琴森は、司令室に入ってきた2人を見るなり歩み寄った。
「あの、今、少しいいですか?」
翔太の問いかけに琴森は頷く。
「ええ。丁度柊さん達の戦いも終わったところだし、いいわよ。……真崎さん、少し任せて良い?」
「はい!大丈夫です!」
真崎の返事を聞いて琴森は微笑み、2人に向き直った。
「それで、どうかしたの?」
「実は、白雪さんのことが知りたくて……」
聖夜がそう言うと、先程と同様に、翔太が冷静に付け加える。
「白雪さんがあまり俺達を頼らない理由が知りたいんです」
「なるほどね……」
そう言うと琴森は少し間を置いて答えた。
「あまり詳しくは言えないけれど、責任感だと思うわ」
「責任感……ですか?」
「そう。白雪君はリーダーよね。だからみんなを守ろうとしてる……というか、守るのは当然だと思ってるのかもね」
最初のコメントを投稿しよう!