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* * *
聖夜は翔太と共に、住宅街を並んで歩いた。
「そういえば、翔太って白雪さんと付き合い長いんだな」
聖夜がそう言うと、翔太は頷く。
「ああ。俺も白雪さんも、特部に入ったのは小学生の頃だからな」
翔太の言葉に、聖夜は目を丸くする。
先日、燕の病室へついて行った帰りにも、翔太が特部に入った経緯は聞いたものの、改めて小学生の頃から戦っていたと聞くと、その強さに尊敬せざるを得なかった。
「すごいな……戦ったりしたのか?」
「当然だ。……もちろん、年上に比べれば任務に出る頻度は少なかったが、その頃から戦い続けてきた」
翔太は静かに答え、歩みを進める。それに並びながら、聖夜は翔太に尋ねた。
「白雪さん、その頃から今みたいな感じだった?」
「……そう、だな。俺は白雪さんより1年遅く入ったが、出会った頃には今のような……1人で強敵を相手にできるくらい強くて、弱音も吐かない白雪さんだった」
「そっか……」
やはり、白雪は昔から他人に頼ってこなかったようだ。これは手強そうだと思って、聖夜が苦笑いすると、翔太は不意に立ち止まった。
「着いたぞ。ここだ」
翔太が指さす方向には、特部の建物にも負けないぐらい大きな豪邸が待ち構えていた。
「こ、ここって……」
驚きのあまり後ずさる聖夜に、翔太は短く答える。
「白雪さんの家だ」
翔太は落ち着いた様子で玄関に向かって広い庭を歩いていく。聖夜も、それに慌ててついて行った。
玄関のドアの前にやって来ると、翔太は慣れた様子でインターホンのチャイムを鳴らした。
「風見翔太です。白雪さんに用があって来たのですが……」
『翔太様ですね。少々お待ち下さい……』
しばらくすると玄関から、短い黒髪のメイドが顔を出した。
「こんにちは、翔太様と……」
メイドは、聖夜を見るなり物珍しそうな顔をする。
その様子を見て、聖夜は慌てて頭を下げて名乗った。
「宵月聖夜です!い、いつも白雪さんにお世話になってます」
「あら、では特部の方ですね」
メイドはそう言うと、聖夜に向かって柔らかく微笑む。
「あの、白雪さんは……」
翔太が尋ねると、メイドは申し訳なさそうに首を横に振った。
「申し訳ありません。白雪様は現在外出しておりまして……まだお戻りになられないんです」
「そうですか……どこに出かけたか分かりますか」
「お姉様のお墓参りではないでしょうか……」
「お墓参り……?」
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