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聖夜が出ていったのを確認して、海奈は苦笑いしながら花琳を見る。
「ほんとに姉さんは、思い立ったら即行動なんだから……」
それを聞いた柊は、こてんと首を傾げる。
「そうなの?」
「そうそう。中学生の頃の夏休みに、特部に入るんだって言って俺を連れて本部に直接売り込んだんだよ」
「え、ほんとですか!?」
花琳は頬を赤らめながら頷いた。
「そんなに白雪さんに会いたかったんですね!」
柊は目を輝かせた。
その様子を見て、花琳は慌てて付け加える。
「そ、それもあるけど!もともと海奈を連れて家を出るつもりだったの」
そう言うと、花琳は少し目を伏せる。その瞳は、憂いを帯びて僅かに揺れていた。
「うち、少し変わっていたから」
「変わっていた?」
「うん。……お母さんが完璧主義でね。気も強かったから、誰もお母さんには逆らえなかった。……私はお母さんを嫌いにはなれなかったけど、あの場所には居たくなかったの」
花琳は、そこまで言って苦笑いを浮かべる。
「そうだったんですか……」
「……まあ、姉さんは白雪さんに会いたかった気持ちが強かったんだけどな」
海奈が重苦しくなった空気を和ませようと、明るく笑った。
「み、海奈!」
「今回の料理だって、白雪さんのこと意識して始めたんだろ」
再び顔を赤くする花琳に、柊は生き生きした目で尋ねる。
「そういえば、2人ってどうやって出会ったんですか!?」
花琳は少し溜息をついて、答えた。
「……私が小学1年生の時に、海奈が高次元生物に襲われて怪我をしたの。そこを当時の特部に助けられて、私と海奈は医務室に運ばれて……そこで白雪君に会ったのよ」
花琳はその頃のことを思い出し微笑みを浮かべる。
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