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「うん。僕には年の離れた姉さんが居てね……特部だったんだ。強くて、優しくて……大好きだった。でも、ある日任務中に命を落としてしまったんだ」
白雪は一息置いて、天井を見ながら続けた。
「……僕は昔から体が弱くて、何をするにも制限があった。そんな自分が不甲斐なかったよ。でも、姉さんは違った。みんなが姉さんを必要としていた。……だから、姉さんが死んだとき、僕が姉さんの代わりになると決めたんだ。残り少ない時間を、全部……姉さんのように、仲間や人々を救うことに使おうって……」
白雪はそこまで言うと、苦笑いした。
「でも、僕じゃ駄目みたいだ」
聖夜はその様子を見て、はっきりと言い放つ。
「そうですよ。……白雪さんはお姉さんにはなれないです」
全員がその言葉に目を丸くする。
「ちょっと聖夜……!」
柊が聖夜を小突く。しかし聖夜は、白雪を真っ直ぐ見つめたまま続けた。
「なれませんよ……だって、白雪さんは白雪さんですから」
そう言って聖夜は優しく微笑む。
その様子を見て、翔太も頷いて微笑った。
「……そうだな。俺達のリーダーは他の誰でもない。強くて、優しくて、頑固な白雪さんだ」
向かい側に座っていた海奈も、元気よく手を挙げながら明るく言った。
「俺も賛成!俺達には白雪さんが必要だからな!」
「ぼ、僕も……」
深也がおずおずと手を挙げる。
その傍らで、柊も笑いながら手を挙げていた。
「みんな……でも、僕はみんなを……」
戸惑いながら仲間を見渡す白雪に、花琳が微笑みながら告げる。
「白雪君が思ってるより、私達は白雪君のこと大事に思ってるの。だから白雪君、これからは私達のこと、もっと頼って」
「花琳……」
花琳の言葉に、白雪は涙を流しながら、明るく笑った。
幼い頃の、本来の白雪の笑顔そのままだった。
「……ありがとう、みんな」
白雪の笑顔を見て、仲間達は顔を見合せて微笑んだ。
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