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20 衝撃
翌日、中央支部隊員は全員が総隊長室に集められていた。
「集まってもらってすまない。今日は君達に伝えなければならないことがある」
千秋のただごとではない様子に、隊員は全員固唾を呑む。
部屋の中に緊張感が走る中、千秋は隊員全員の顔を見渡して、ゆっくりと口を開いた。
「……高次元生物は人為的に生み出されている」
「え……!?」
聖夜は驚いて声を上げた。他の隊員達も、目を見開いて驚きを隠せない様子だ。
千秋はそんな隊員達に対して、落ち着いた様子で話を進める。
「驚くのも無理はないが……この資料を見て欲しい。琴森、頼む」
「分かりました」
琴森は千秋に頷き、隊員に5枚綴りの紙の資料を配った。
その資料には、高次元生物が出現した場所を詳しく分析したデータが載っていた。
隊員達は、各々資料に目を通す。
白雪や深也がその資料を素早く読み進めている一方で、聖夜と柊は見慣れないデータを前にして、あまりピンと来ていない様子だ。
「高次元生物が出現したポイントに残っている残滓が、ワープパネルを使用したときに残るものと一致した」
千秋がそう言うと、聖夜が首を傾げる。
「残滓……?」
理解が追いついていない様子の聖夜に対して、琴森が分かりやすく付け加える。
「あなた達が任務に使うワープパネルは、『転移』のアビリティを応用したものなの。そして、アビリティとはエネルギーを変化させたり、利用したりすることで特殊な効果を発揮させるもの。だから、利用した後には必ずエネルギーの残滓が残る」
「じゃあ、その残滓がワープパネルのものと一致したってことは……」
聖夜がそう言うと、琴森は頷いた。
「そう。何者かが高次元生物を各地へ送り出しているということ」
「でも……一体誰が」
誰も聖夜の言葉に答えることができず、部屋が静まり返る。
その沈黙を破るように、花琳が手を挙げた。
「心当たりがあります」
花琳の申し出を聞き、千秋は彼女を真っ直ぐと見据える。
「話を聞かせてくれ」
千秋に促されて、花琳は静かに頷き、自分の意見を話し始める。
「はい。……先日、蜘蛛型の高次元生物を従えていたエリスという少女に会いました。彼女は高次元生物を自分の物だと言っていたんです」
「つまり、エリスという少女が高次元生物を送り出していると?」
「はい……でも、他にも気になることがあって……」
「教えてくれ」
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