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結は柊に笑顔を見せると、まだ自己紹介していない、薄紫色の長い髪をした少年の肩を叩いた。
「次、城田先輩の番ですよ!」
「あ、ごめん。ぼんやりしてた」
その少年の整った顔が柊に向けられる。
「城田大地。アビは『壁』。よろしく」
「よろしくお願いします」
「全員自己紹介したね?」
草谷がそう確認すると、全員が彼に注目した。
「作戦を確認するよ。まず、僕達の目的は毒の原因を突き止めること。そのために2つの班に分かれて町を探索するよ。何か異常があった場合は、すぐに連絡すること。いいね?」
全員が頷いたのを確認して草谷は続けた。
「翔太君と柊さんは鈴と行動してくれ。他のメンバーは大地の指示を聞いて」
「了解!」
* * *
連日の毒の騒動が原因か、住宅街は閑散としていた。今のところ、特に異常は見られない。
「何か原因があるとすれば人が集まる場所だと思ったのだが……」
翔太は眉間に皺を寄せながら呟く。それを見た鈴は翔太の肩をぽんと叩いた。
「目の付け所は間違ってないと思うよ。毒にやられている人の共通点は、この町の人間だということだからね。もう少し、注意して探そう」
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