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「高次元生物は?」
怪訝そうに尋ねる翔太を見て、少女はにやりと口の端を上げる。
「こんなに簡単に騙せるなんて、特部も大したことないわね」
妖しい笑みを浮かべながら少女は指を鳴らした。その音と同時に、少女の背後に無数の針が生まれる。針は紫色に輝き、先端にいくにつれて黒くなっていた。
「『毒針』!」
少女が腕を振り下ろすと針が3人に降り注いだ。針が肌に刺さると、溶けて体内に毒が流れ込む。
次の瞬間、3人の胸に鋭い痛みが走った。間もなくして呼吸が苦しくなり、3人はその場に崩れ落ちる。
「お前……何者だ……」
翔太が苦痛に顔を歪めながら尋ねると、少女はにやけながら答えた。
「私はアリーシャ。よろしくね。まぁ、あなた達はここで死ぬんだけど」
「町の人達を毒で苦しめたのもお前だな……」
「その通りよ。こうすれば特部が現れると思ってね」
「狙いは俺達か……お前、エリスとかいう奴の仲間だな……」
「そうよ?だから何?」
「俺達は……お前達を倒す……」
翔太は身体に力を入れ、何とか立ち上がろうとするが、苦しさのあまり身体を起こすことすらままならない。
「あは!その体で?無理よ無理!」
アリーシャは楽しそうに笑いながら、翔太の前へしゃがみこみ、その前髪を引っ張った。
「くっ……」
「あなた達はここで死ぬの!苦しんで、苦しんで、そして死ぬの!」
アリーシャは狂気に満ちた笑顔で、3人にそう言い放つ。
翔太は悔しそうに彼女を睨んだ。抵抗しなければならないのに、体内に回った毒のせいで、思うように身体が動かない。
髪を引っ張られ、乱暴に頭を上げられている翔太を見て、鈴は震える手で腰にしまったフルートを取り出した。
翔太を助けなければ。そう思ったのだ。
「やめろ……!」
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