22 東日本支部

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「鈴さん……ありがとうございます」 「君が勢いに任せて突っ込んだ時はどうしようかと思ったよ……」 「すみません。東日本支部のみんなが居なかったらどうなっていたことか……」  翔太はそう言いながら緑のマントの仲間達を見つめる。 「本当に、助かりました。ありがとうございます」  頭を下げる翔太に対し、東日本支部の面々はそれぞれ嬉しそうに笑った。 「そういえば、毒の原因はなんじゃったのかのう?」  ふと、忍が首を傾げた。 「それは……帰り道に話します」  翔太はそう答えると、柊の元へ歩み寄り、ぐったりとしていた彼女をおぶった。  以前、海奈と深也と出た任務で運ばれた時とは異なり、柊は何も抵抗せずに彼に身を委ねる。 「翔太君、ごめんね……」 「気にしなくていい。このぐらい、させてくれ」  翔太は優しく答えて、柊を背中に歩き出した。  その言葉の優しさと、背中から感じる温もりが、柊の心にじんわりと広がっていく。  彼の不器用ながらも真っ直ぐな優しさが、たまらなく嬉しかった。 「翔太君って、意外と背中大きいよね」  柊は小さく微笑みながら、彼に声をかける。 「なんだそれ、褒めてるのか?」 「なんだか安心するってこと」  柊の言葉を聞き、翔太の頬がほんのりと染まる。 「聖夜の方が大きいぞ」  咄嗟に出た照れ隠しだった。しかし、柊はそれをすぐに見破り、楽しそうに笑う。 「ふふっ、照れてる?」 「…………照れてない」 「仲良いね。2人とも」  2人のやり取りを見て、鈴はにやりと笑った。今度は、翔太の気持ちと2人の仲の良さを完璧に理解して。  翔太は鈴の考えていることを察して、落ち着きを装い、早口で彼女に釘を刺す。 「そんなんじゃありませんから。邪推しないで下さい」 「分かってる分かってる!さぁ、早く帰ろう」  鈴は明るく笑いながら、仲間達の先頭に飛び出して、軽やかな足取りで歩いて行った。 * * *  東日本支部に戻る頃には、柊は眠ってしまっていた。  調査と戦闘の報告は東日本支部の隊員に任せ、翔太は柊を負ぶったまま医務室に向かった。 「失礼します……って、清野さん!」
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