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しばらくすると、「白峰高台公園」という看板と、白い階段が見えてきた。
「この上だ」
翔太に連れられ、柊は彼と並んで階段を上っていく。少し長い階段を上りきると、町全体を見下ろすことができた。
家の明かりと街灯、そして、少し遠くの方に見える道行く車のライトが、散りばめられた宝石のようにキラキラと光っている。美しい夜景だった。
「綺麗……」
「柊、こっちで座って見よう」
翔太は公園の奥にあるベンチに座って柊を呼んだ。
「うん、分かった」
柊は翔太の隣に腰を下ろすと星空を見上げた。雲一つ無い晴れた夜空には、数え切れないほどの星空が浮かんでいた。
「こっちも綺麗だな……素敵な場所、知ってたんだね」
柊は微笑みながら翔太を見た。翔太の横顔は穏やかで、ただ静かに、夜空を見上げている。
「ああ」
柊の言葉に、翔太は空を見上げたまま返事をした。それを聞いて、柊も再び星空を見上げる。
「どの星がどの星座か分かる?」
「少しな……あれが天秤座、その少し上が乙女座だ」
翔太は星座を指でなぞった。
「……どれがどれだか分かんないや」
柊が苦笑いしてそう言うと、翔太は優しく告げる。
「俺も始めはそうだったよ。何度も見てるうちに、分かってくるさ」
「そっか……うん、そうだよね」
2人は静かに星を見上げた。心地良い沈黙が2人の間に流れる。
その沈黙を破ったのは翔太だった。
「柊、もう無理するなよ」
「え?」
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