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つぐみ×稜牙
「お前、なんて顔してんの?」
「重ね重ね失礼な男ね…」
もうこの四六時中偉そうな男に言い返す気力もない。くるっと来た道を引き返し始めた私の横についてくる。
「…ついて来ないで」
「こんな時間に一人で危ねぇだろうが」
その言葉にふと暗い周りを街灯を頼りに見渡し
「ここどこ…?」
「はぁ?お前…マジでどうした?今日飛んで帰っただろ?」
見覚えのない歩道の上で長身の佐伯稜牙が私を覗き込んだ。
「男か?何された?どうした?」
そんなこと…本気かどうかはわからないが一度告白されたことのある相手に言えない。しかも、付き合っている人がいて一緒に暮らしてる…そう断ったんだ。
「佐伯くんはどうしてここにいるの?」
「家の近くだ」
「ふーん…」
「聞いておいて適当な返事すんな」
「…ごめんなさい」
「つぐみ…やっぱりお前が謝るなんて正気じゃねぇな」
「もう何とでも言ってくれていいからついて来ないで」
彼は一度真っ暗な天を仰いだあと、ため息まじりに言った。
「今日…つぐみの誕生日だろ?」
「…」
「俺ならそんな顔させねぇ」
「…」
「まず何があったか言え。俺はお前を諦めた訳じゃねぇ。お前が嬉しそうに楽しそうにしてたから…それならと見守っていただけだ。言えよ」
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