つぐみ、とける

4/16
7054人が本棚に入れています
本棚に追加
/595ページ
「美味しい。どれも美味しいね」 「そうか?普通なだけで唐揚げもポテトサラダもつぐみの作る方が断然うまいけど?こんな焼きそばじゃなくて、この間の海鮮塩焼きそばが食いたい。あれすげぇうまかった」 そう言いながら稜牙は‘こんな’と言ったソース焼きそばを頬張る。 「稜牙、焼きそば好きなら、あんかけ焼きそばも作れるよ」 「あのパリパリの麺のやつか?」 「うん」 「食う。海鮮塩焼きそばの前にあんかけ焼きそばを食ってみたい…って…家で何でも作れるんだな」 「何でもではないけど…ふふっ…あんかけ焼きそばは難しくないよ」 「ギョーザも作れる?」 「作れるよ。焼き餃子も水餃子も大丈夫」 「どっちも食いたい…ああ…」 何故だか稜牙は箸を置いて頭を抱えた。 「…どうしたの?」 「つぐみを料理人のように使うつもりは全くないのに…あれ作れ、これ作れと言って…反省中」 「あははっ、稜牙…大丈夫、大丈夫…ふふっ、そんな風には受け止めてないよ。一緒に生活していく方法の一部分を楽しく相談している感じに思ってる。どこそこに行きたいねって相談しているのと同じ。作るのも食べるのも、稜牙と私にとってはそういうものでしょ?しかも一般的な家庭料理で‘料理人’なんて呼んでくれるなら本望でしょ?」 私がそう言うと稜牙は口元を押さえて声を発した。 「つぐみ…お前…マジでいい女だな…惚れ直すわ」
/595ページ

最初のコメントを投稿しよう!