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「つぐみ…誕生日おめでとう」
頭の上から聞こえる声に再び涙腺が緩む。
「今日初めて…言われた」
「そうか…ひでぇな…俺的には嬉しいが」
「…ゲームの発売日に…負けたみたい」
「あり得ねぇな」
「それが…あり得た」
「そんな奴やめちまえ」
「…すごい優しいのよ」
「俺はもっと優しい」
「…大雑把な私に文句ひとつ言わない…温和で几帳面で…」
「つぐみが大雑把なのはもう知ってる。書類は丁寧だしデスクも綺麗だが一番下の私物を入れてる引き出しだけ…乱雑」
「なんで知ってるの?」
「お前あそこから魔法のランプのようにあれこれ出すだろ?」
「み~た~な~」
「ぶっ、そんな声出しても怖くねぇよ。つぐみは幽霊にはなれないな…妖精ってとこだ」
「…高評価ありがとう?佐伯くん…ちょっと優しいね」
「おまっ…」
彼は両腕で私を締め付けるように力を加えて抱きしめてくる。
「…ぐっ…ょぇ…ギブ…ッ…」
おかしな声を出した私の頭にチュッとキスして腕を緩めた彼に
「そ…っ…そーゆーことは…やめて…ください」
腕を突っ張り何とか抵抗した。
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