第1章 つぐみ×拓也

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2年経っても変わらないのは拓也の几帳面さで、今も食後すぐに皿洗いをしている。それを任せて私が洗濯物を畳むと、彼は皿洗い後今度は洗濯物をラックや棚に片付けていく。 「ありがとう、拓也」 「いいよ」 私は洗濯後に畳んで積み重なったところから順にTシャツやタオルを使うことに抵抗がない大雑把な性格だが、彼は床に物を置いたままなのは嫌らしい。温和な彼は、私に強要することもなく自分でパッと片付けてくれるから助かっている。 そして拓也は自分の着替えを手に洗面所に行ってしまった。ここが変わったよね…当たり前の生活をしているのはわかっている。夕食、お風呂、就寝…だけどわかっているからって最近の私たちって熟年夫婦みたいなんだけど? 私、竹田つぐみは印刷製本機械を製造販売する会社に勤める25歳。 彼、増田拓也はホテルのレストランに勤める28歳。 休日があまり合わないので始めた同棲生活は安心安定で心地悪くない。でもほら…お風呂から上がった拓也は 「つぐみ、どうぞ」 にっこり私の好きな温和な笑顔でそれだけ言うと、ヘッドホンを着けゲームを再開した。そしてそれは真夜中まで続く。私は11時半頃に彼の目の前に手を振り 「寝るよ、おやすみ」 「おやすみ、つぐみ」 こうして先にベッドに入る日が多い。寝よ…明日も仕事だ。
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