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「つぐみ…優しくしようとはしたが…出来なかった…つぐみの熱さと…つぐみの放つ媚薬のような香りに狂っちまう…悪い…」
「大丈夫…稜牙…優しかった…すごく気持ちよかったもん…自分本意じゃそうはならないでしょ?」
ぴったりと隙間なく抱きしめ合い、静かに言葉を交わす。
「シャワーしたいけど…このまま眠りたい…眠い」
「くくっ…どっちだよと言いたいが…眠れるならこのまま眠ること優先。シャワーで目が覚めると明日…もう今日の仕事つらいぞ」
「うん…朝シャワーする…」
「3時間眠れるか…金曜だから一日だけ仕事頑張れ」
「大丈夫だよ…もう眠れる…おやすみ、稜牙」
「おやすみ、つぐみ」
すぐに体の力が抜け小さな寝息をたて始めるつぐみを抱きしめたまま、片手を伸ばしスマホを手探りで掴んでアラームをセットする。いつもの目覚まし時計だけでは起きられないかもしれない。それを枕の真横に置くともう一度つぐみを包み込んで俺も深い眠りにつく。
昨日までと同じ一緒に眠るという行為が、ただ眠るという時間から互いに充電出来るような…互いに疲れた羽を休める時間になるような…そんな気がして目を閉じると自然に口角が上がるのを感じる。
腕の中にいるのが長年想い続けた愛しいつぐみだと改めて感じながら、深い眠りに落ちた。
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