つぐみ、とける

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予定通り帰宅する。料理はしないが洗濯機は回さないと…暇に感じるが今のところ連絡がないから料理はすべきでないよね。 少しだけ…と思いソファーに横になるとすぐに額の奥で蠢く睡魔に襲われる。次の瞬間にはもう意識は深く深く沈んだ。 ふわっと小さな風を感じる…風?違う…ちゃんと仕事の後帰ってきたもの…外じゃない…はっ…帰った?えっ…ガバッと体を起こすと、覚えのない毛布を手に掴んだ私の寝起きの頭に高低差が気圧の変化となって襲ってくる。ふらつく頭を両手で挟み‘痛くならないで’と願うと 「つぐみっ?どうした?具合悪い?頭痛いのか?」 シャツのボタン全開で着替えようとしていたであろう稜牙が駆け寄って来た。 「稜牙…おかえり…」 「ただいま、つぐみ。どこ痛い?頭?」 「…」 ボーッとする頭を横に振ると彼の手のひらが私の額に触れる。 「急に起き上がって…頭が痛くなりそうだっただけ…治まった…今何時?」 「7時過ぎ。もう少し寝ててもいいぞ」 「うん…稜牙…帰ってきた…」 「待ってた?買い物したから今になった。食う?」 「…今日誘われなかったの?」 「ああ、何か聞いた?よく知らない社員に誘われてもメリットないから行かない。工場から設計の人が来た時なんかは自分から誘うこともあるけどな」 シャツを脱ぎベルトを緩めながら言う稜牙に 「あちらでゆっくり着替え来て…」 「つぐみに目を逸らされると俺ショック…つぐみ好みに鍛えてるのに」 「…えっと…ハイ…ありがとうございます」 そう言うと彼は、セクシーな上半身を揺らし声を上げて笑いながら着替えに行った。
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