ファインダー越しの彼女

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「では、お開きでーす。二次会行く人ー?」  はっとして手元を見ると、いくつかグラスが空いていた。どうやら、適当にお酒を飲んでいたようだ。はす向かいに座る茜を見ると、ソフトドリンクだけを飲んでいたみたいで、空のグラスにはストローが残っている。  何人かは二次会に行くようだったが、優弥は帰ることにした。  思ったよりも飲んだようで、足元がフワフワしている。このまま帰って水でも飲んだ方が良いかもしれない。  少しおぼつかない足で、駅に向かって歩き出す。夜は少し涼しくなってきたようで、冷たい風が気持ち良い。 (勿体ないことをした)  せっかく、茜に会ったのに、第一印象が悪すぎたのか、話すことはなかった。  もっと知りたかった。  大空に飛び立つときに何を考えているのか。  空を駆け抜けるときは何が見えているのか。  その目に何を写しているのか。  まずい。  そう思ったときには、誰かに体を支えてもらっていた。  酔いが回ったらしく、体がふらついて誰かに寄りかかってしまった。慌てて体勢を直そうとするも、力が入らない。こんなに酔ったのは久しぶりだ。優弥は寄りかかった相手を見ると、そこには茜がいた。 「これ」  茜に渡されたのは、ミネラルウォーターだった。 「えっと、ごめん」 「心配だったから追いかけただけです」  ぶっきらぼうに言う茜は直立不動の姿勢だ。優弥が寄りかかっても、びくともしない。 「さすが、ファイターパイロットは鍛え方が違うね」 「命懸けですから」  そっぽを向いて答えた茜の耳は繁華街の灯りに照らされて少し赤くなっていたのが見えた。 「あなたが好きだ」  
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